2015年8月24日月曜日

安全保障関連法案の廃案を求める名城大学大学教職員有志の声明

「二度と教え子たちを戦場に送らない」――戦後、教育にたずさわる多くの人々が、この誓いを悲痛な思いで掲げました。戦後70年を経た今日、私たちはあらためてこの誓いを確認するとともに、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

(1) 日本国憲法は、我が国の基本姿勢、国のあり方の根本を示したものです。国家権力は憲法によって枠づけられます。その憲法の解釈が、一内閣の閣議決定で変えられてしまいました。そして今、これまでの内閣法制局長官や憲法学者のほとんどが憲法違反と批判する安全保障関連法案が、制定されようとしています。この現状は、人権を尊重する社会のあり方とは全く相容れないものです。こうした法案が日本国憲法の精神をないがしろにして制定されるならば、私たちは、戦後に築き上げられてきた民主主義の大切な枠組みを、根底から崩すことになります。

(2) 安全保障関連法案が制定されれば、我が国が若者を戦場に送りだす可能性は極めて高くなります。「二度と教え子たちを戦場に送らない」――この決意を、私たちは空虚なスローガンにしたくありません。
戦場に行くということは、自らの命を危険にさらすとともに、他国の人々の暮らしや命を犠牲にするかも知れないということでもあります。犠牲者を生む暴力がさらなる暴力を呼び、報復がさらなる報復を呼ぶという悲しい歴史も、私たちは知っています。
日々、学生たちと向き合う者として、この若者たちを戦場に赴かせ、暴力や報復の連鎖をももたらす可能性の高い安全保障関連法案には、強く反対せざるをえません。

(3) 先の大戦では、実に多くの若者たちが学びの機会を奪われました。戦争が続く中、教育現場からは授業らしい授業が次々と消え、学徒動員により戦場に向かった学生もいれば、軍需工場への勤労動員で兵器製造に従事した学生や生徒も大勢いました。みな、可能性に満ちた青春の日々を戦争によって奪われ、多くの若者が命を奪われたのです。
名城大学の前身である名古屋高等理工科学校にも、こうした経験をした人たちがたくさんいました。同様の経験をした後に、本学の教職員になった者も少なくありません。
戦争を生きのびた学生・生徒たちの「学びたい」という強い思いは、戦後日本の教育と学問を発展させてきました。学びは平和の中でこそ完全に保障され、学問は平和の中でこそ健全に発展します。教育と学問を担う私たちは、今回の安全保障関連法案に賛成することはできません。

以上の理由により、私たちは心の底から安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

2015824

名城大学教職員有志

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